ロックショアシューズ(磯靴)の選び方

道具の紹介
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フィッシング用シューズはメーカー各社から様々なものが発売されております。ソールの種類も、スパイク、フェルト、フェルトスパイク、ラバー等あり、それぞれに得意、不得意があります。ロックショアでは様々な岩質の地面や状況に遭遇します。実体験に基づき各ソールの特徴を書きました。これからロックショアを始める方にとって、この記事が靴選びの参考になればと思います。

最後の方に私が使用したことのある靴を紹介いたします。昨今、続々と新しいシューズが発売されてきておりますので、最新の情報を仕入れると他にもっと良いシューズがあるかもしれません。靴は足に合うことが重要ですので、実際に店頭で試着してから購入することをオススメします。

私がよく行く能登半島の輪島エリアと珠洲エリアの岩質について簡単に説明しますと、輪島エリアの磯は堆積岩が多く、石ころを集めてセメントで固めたような岩質であり、ボコボコしているのでスパイクが良く効きます。注意点は、比較的脆い岩が多く、バランスを取るために岩をつかむと岩が剥がれたり、足を乗せた地面が崩れたりすることもあります。そこで気を付けることは、手を掛けた岩を揺すって岩が動かないかを確認してから岩に体重をかけるようにします。また岩に足を乗せる際は、目視で地面(岩)の摂理を確認し、安定してそうなら、両手で体重を支えてから片足をそこに乗せるようにします。仮に足場が崩れても両手で体を支えていれば、バランスを保てます。

続いて、珠洲エリアについては、輪島エリアよりも比較的硬い岩質の火山性の岩が多いように思います。全体的にスパイクが良く効く岩質ですが、注意点は岩がパカッと割れた跡のような断面が平滑でつるっとしているところも時折見かけ、このようなところはスパイクが効きにくいので、そこを避けて歩くようにしましょう。

ロックショア用の靴選びで大切なこと(4つ)


・足型に合っていて、フィットしていること
・滑りにくいこと
・足裏感覚がよくて細かいスタンスに立てること(釣り場へのアプローチ道では3点支持で際どい箇所を通過する場面もあります)
・耐久性があること

ロックショアの地面は様々な岩質から成り、さらに濡れていたり海藻や海苔が付着していることもあり多様性に富んでいます。


フェルトとスパイクの使い分けについて

足場が濡れていたり薄っすらと海苔が付着している場合はフェルトが適します。ただし、濡れている上に厚い海苔が付いている場合、フェルトでは、海苔の上で滑ることもあり、このような場所ではスパイクの方が滑りにくいです。スパイクのピンが海苔を貫通し、海苔の下の地面の窪みにピンがひっかかりグリップするからです。しかし、スパイクはつるっとしていて窪みがない地面の場合は、滑りやすくなります。滑りにくさというのは摩擦力に関係し、この摩擦力が大きいほど滑りにくくなりますので、スパイクのピンでは平滑な地面の場合、接地面積が小さいため滑りやすいです。ロックショアには、このように平滑なスロープ状になっているところもたまに見受けられますので、気を付ける必要があります。このような地面ではフェルトのように面でフリクションを大きくした方が滑りにくいです。

最も滑りやすく危険性の高いのが写真のような地面です。うっすらと海苔が付着していて、スロープ状に斜めになっており、しかもスパイクが引っ掛かるような窪みが少ない。このような地面では、スパイクよりもフェルトスパイクまたはフェルトの方がグリップ力を発揮します。
写真のような右に傾斜した地面は一見するとスパイクが効きそうですが、よく見ると摂理が逆層になっているので、斜めの地面にスパイクを効かせることは難しいです。比較的水平になっているところを探し、そこに立つようにするのがいいです。(逆層とは、高いところから低いところに滑らせていくと引っ掛かることがない。反対の順層とは、高いところから低いところに向かって滑らせると凸部に引っ掛かる。順層はスパイクがよく効く。)

基本的に、不整地での歩き方はつま先で蹴るような通常の歩き方ではなく、ベタ足で歩くフラットフィッティングを心掛け、足裏全体で地面を捉えて接地面積を大きくする方が滑りにくく安定性がよくなります。

スパイクのデメリットとしては、クッション性が乏しく衝撃が強いので長時間の釣りや長距離の歩行では、ひざや腰を痛めることもあります。これは中敷き等で緩和もできますが、比較的にはフェルトやフェルトスパイクの方がクッション性があるので体にはやさしいです。 

私の場合、スパイクとフェルトの中間的な特性のあるフェルトスパイクを使用することが多いです。特に波に洗われた濡れた地面を歩くことが多い場合はフェルトスパイクがおすすめです。フェルトスパイクはフェルト地にピンが入っており、特別に優れたグリップ力ではありませんが、そこそこのグリップ力を、ほとんどの状況にオールラウンドに対応できます。気を付ける点はスパイクと比べてピンが短いので、窪みへのピンのホールドや、厚い海苔が付着している地面の場合、グリップ力は劣ります。また、フェルトスパイク、特にフェルトに共通して言えることですが、釣り場に向かうアプローチ道の地面が落ち葉や泥の場合は滑りやすいです。アプローチがこのような地面の場合、スパイクが安心です。 

総合的には、スパイクがロックショアの様々な地面、アプローチ道において、安定的にグリップ力を発揮する場面が多いです。しかし、濡れやすい足場の低い磯でかつ海苔が付着している場合はフェルトスパイクの方が優れたグリップ力を発揮します。フェルトスパイクの注意点は磯場に降りる際の落ち葉や泥の地面では滑りやすいので、登山用のピンソール等を装着すると安全です。条件は限定的ですが、その磯が足場が高く、いつも乾いているなら、ラバーは優れたグリップ力を発揮します。

スパイク、フェルトスパイク、フェルト、ラバーの特徴を比較表にしてみました。

スパイクフェルト
スパイク
フェルトラバー 
岩が乾いている
岩が濡れている
岩が平滑で乾いている
岩が平滑で濡れている
岩に付く海苔が薄い
岩に付く海苔が厚い
靴のクッション性
靴の耐久性
落ち葉や土の地面×

フェルトの注意点

砂や泥が繊維に詰まると、滑りやすくなる。また、摩耗しやすく、使用しているうちにフェルトが潰れてクッション性が低下し、滑りやすくもなる。

スパイクの注意点

使用しているうちにピンがすり減ったり、潰れたり、脱落したりするので、使用の際は、靴底の点検をしておいた方がいいです。また歩く際はしっかりと足を上げることを意識しないとピンが地面にひっかかってつまづくことがあります。

ラバーの注意点

経年により、ラバーが硬くなり、クッション性が低下し、滑りやすくもなります。

靴の生乾きの嫌なにおいの発生について

ロックショアでは、波が足元を洗い靴が濡れることがよくあります。生地の厚いフィッシングシューズは、濡れると素材が水を吸い、濡れたままの状態で時間がたつと雑菌により臭くなります。乾かすには靴の中に新聞紙を出し入れしての面倒な作業が発生します。靴の中にドライヤーを突っ込む方法もありますが、これも面倒です。これらの対策としては、もとから水はけのよい、乾きやすい靴を選ぶのがよいです。例えば、生地が水を吸わない素材が良いですが、そうなるとクッション性が少なくなり靴擦れが起きやすくなりますが、これの対策としては中敷を厚めのものにしたり、または厚手のソックスやネオプレンソックスを履いて靴をはくと靴擦れを防げます。しかし、そもそも濡れなければいいので、防水のフィット性の高い長靴が選択肢としてあります。

おすすめの靴を3点紹介します。いずれも釣行30回程使用していますが、今のところは破損していません。足裏感覚に優れる足袋タイプの靴は、岩の突起が痛い場合がありますので、中敷きを入れることをオススメします。また1点、フィット性の高い長靴を紹介します。

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リアルメソッド フェルトスパイクサーフブーツ

こちらは素材がネオプレンになるので水を吸いやすく、やや乾きにくくなりますが、サイドのジッパーを全開にできるので、割と乾きやすいです。また、柔らかく延びる材質であり、ベルクロで足首と甲の大きさの調節もできるため、ほとんどの方の足型に合いやすいと思います。
足袋タイプなので足裏感覚には優れており、磯にアプローチする際のきわどい難所を通過する際、小さなスタンスに立つことにも適しております。
しかし、足裏感覚に優れることが逆にデメリットとなることがあり、足袋タイプの靴は、岩の突起をダイレクトに感じるので足裏が痛くなる場合があります。これについて厚めの中敷きを入れることで緩和させることができます。 この靴は使用回数が多くなると生乾きのにおいが発生しやすくなりますが、そうなった場合は、塩素系か重曹等の洗浄剤に1日漬けておくとにおいを取ることができます。とにかく、この靴は安価なことが大きなメリットです。年に数回しか釣りに行かない人にはオススメです。

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マズメ スパイクシューズ

こちらは高価な靴になりますが、完成度は非常に高いです。靴の製造には登山メーカーであるキャラバンが関わっているようでキャラバンと言えば、沢登り用の靴メーカーでもあり、かつて大峰という沢靴があり、フィット性がよく、かつ滑りにくい、とても優秀な靴でした。このマズメスパイクシューズを丸2年使用した感想としては、滑りにくさ、フィット性、乾きやすさ、どれも優秀です。気になるところは、使用しているうちにピンが脱落や埋没していくことです。1年使用すると両足で計5本のピンが使用不能になりました。いつの間にかピンが少なくなっていて、滑って危険な目に遭わないよう靴底の点検はしておいた方がよいです。総合的にとても優れている製品です。迷ったときはこれを選んでおけば間違いありません。(2023年から改良されたモデルが発売されており、損傷しやすい部分(ピンの埋没等)が強化されているようです。)

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ダイワ タイトフィットフィッシングブーツ

このブーツはフィット性がよくクッション性も高く長距離を歩いても疲れにくい。気になるグリップ力はフェルトスパイクのため、スパイクのように岩の窪みにガッチリとハマるような極端なグリップ力は発揮しませんが、様々な岩質、海苔の付着した岩や濡れた岩に、平均的に良好なグリップ力を発揮します。(ちなみにスパイクの場合、効かないときは極端に滑り、それが予測できないこともあるので、個人的にあまり好きではありません。)

このブーツはクッション性にも優れており膝や腰への負担が少なく疲れにくい。さらにブーツタイプのため、波が打ち寄せる場所や浅い水の中を気にせず歩いていける。ただ、難点はガビガビの岩肌の地面ばかり歩いていると、フェルトの部分の消耗が早い。しかし、その分、値段は比較的安価なので、総合的には、かなり優れたブーツと言えます。それほど問題ではないのですが、少し気になった点として、脱ぎ剥ぎのしやすさのための踵の突起が岩に引っかかることがあるので、この突起は不要だと思います。

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