私が考える「ルアーを自作する意義」とは

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現代は、機械による精度の高い加工ができ、優れた材料もあり、資本力のある会社は効率的かつ合理的なものづくりが可能になっている。シミュレーションや流体解析等の技術も可能になってきている。ショップでは質が高く機能にも優れたルアーを安価に入手できる。そんな中、わざわざ時間を掛けてルアーを自作する意義はあるのだろうか。比較するのもおこがましいが、一個人が手作りするルアーがメーカー品に勝る点があるとは思えない。どう考えても自作ルアーは、メーカー品より劣った自己満足にしかならないと思っている。だが、本当になにもかもメーカー品に劣るかと言えば、そうでもないような気がしてきた。自作を続けていく内に気が付いたことがある。

それは、自作において、メーカーには真似できないことができるということ。例えば、壊れやすいけど、動きが軽くレスポンスのよいものが作れることが挙げられる。具体的には、最低限の防水性をもたせるくらいの薄いコートにして、さらに中空にして軽量化する。当然、強度は低くボディをぶつけるとすぐにへこんだり、浸水しやすい。(例えるなら防御力ほとんどないが運動性能抜群の自作ルアー VS 頑丈で安定した動きの市販ルアー)簡単に壊れても天然素材である木材で作ったルアーは自分で直すことができる。へこんだり、コートが割れたら、ヤスリがけしてから再度コートしたり、部分的に壊れた個所を切削して埋木をしたりして補修ができる。市販品では壊れやすいルアーは問題となるので販売すること自体が難しいと思う。(昔のシーバスルアーには壊れやすいけどよく釣れるものがあったので必ずしもそうとは言えないかもしれないが)

メーカー品と自作の違いを比較してみる

例えばA社の180mmダイペンは総重量87gに対してオモリの重さは18gである。(実際に分解して計測)これに対して私の自作ルアー190mmは総重量80gに対してオモリの重さは41gであり、オモリの割合がメーカー品と比べて圧倒的に大きい。(=ウェイト比率が大きい)それだけ自作ルアーはボディ材料の密度(比重)が小さいことがわかる。

これがもたらす効果は、ウェイト配置の余地が大きく、軽い箇所と重い箇所にメリハリを付けることができ、軽快な動きや切れのある動きを作りやすいということ。

ボディ材料の比重と強度の関係

木材は細胞壁が立体的に組み合わされた材料なので、空気を多く含んでいながら単位重量あたりの強度がプラスチックよりも高い。プラスチック製のルアーはボディ比重を軽くするためには中空にする必要があるが、その代わりボディ強度が低下する。これを補うためにボディ内部にリブを入れたり部分的に厚みを増して対応しているが、それでもウッド製に比べると比重は高くなる。とはいえ、強度とアクションが両立できるよう緻密な計算の上、設計していると思われるから、単純にボディ比重が高いと、よくないかといえば、そうとも言い切れない。たとえ密度の高い材料であっても設計次第で優れたアクションを実現できると思われる。とはいえ、それは技術力のあるメーカーができることであって、一個人がそのような緻密な設計をすることは難しいので、個人が自作する上で軽快な動きを目指すならボディを軽くするのが単純で簡単な方法だと思う。

改造が簡単なことも自作ルアーのメリット

例えば、後からボディに穴を開けてオモリを追加したり、減らしたり、ボディを削って形状をスリムにしたりといったことができる。これを市販品のプラスティック製でやると、ボディを削れば浸水したりして動きが大きく変わってしまうので難しい。

クセの強いルアーも自作ならできる

また、市販品では難しいこととして、ミスダイブしやすく、クセが強く、万人受けしない扱いにくいルアー。自作であれば、水面下を浅く泳ぐものとか、水面をスケーティングしながらスラロームするものとか、ミスダイブはしやすいけど操作して楽しいものを作れる。

非対称でアンバランスなこともメリットのうち?

また、自作だと左右非対称になったり、天然素材である木材ならではのバラツキがあり、よくも悪くも動きが安定していないが、それがかえってランダムな動きにつながり、良い結果を招くこともあると思う。

結局、最も大切なことはルアー操作していて楽しいこと

操作して面白くないけどよく釣れるルアーと、そこそこ釣れて操作して面白いルアーでは、どちらが釣りをして楽しいだろうか。ヒラマサを釣るには、どこで釣りをするかの場所(ポイント)が1番重要であり、そこではどんなルアーでも釣れる可能性がある。同じポイントに別のルアーを同時に投げて検証することはできないのであくまでも推測になるが、魚を釣るには少なくとも、ルアーの種類よりも良いポイントを選ぶことの方がはるかに重要であることは間違いない。あとは、集中力を持続できて投げ続けられることであり、そのためには飽きにくく操作して楽しいことが大事な要素。だからこそ、ルアーというのは使って楽しいことが大切なことだと思う。人それぞれ感性は異なるので、個々に好きなルアーは違うはず。そこで自分の好きなルアーを自分で作ることに意義がある。自作の意義とは、まるで象牙の塔にでも籠るように自分が好きな動きのルアーを自分で作ることだと考える。

(入手困難なので、市販品といっていいのかわからないが、あるメーカーは、密度の小さい木材をボディ材料として、さらに中をくり抜いてボディ密度を低下させており、壊れやすいようだが、切れのある動きでよく釣れるとのことである。そうなると自作だからこそでできることとは、他に思いつく限りで挙げてみると「作る過程そのものを楽しむこと、自分の好きな動きを追及すること、試行錯誤(釣り場でウェイトを貼ったり浮力材を貼ったり)して動きの変化を楽しむこと、よく行く釣り場に特化した仕様にする、扱いにくいものを操る楽しさ、安価にウッドルアーを所持できる」これらが考えられる。)

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