旬のスズキを求めて

能登ロックショア釣行記
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スズキの食味は時期や生息地によって大きな差があるといわれている。今はやらなくなったが、私は昔、河口や河川でのシーバス釣りをやっていて、その際に釣った魚を食べてはいたが、そこまで美味しかった記憶はない。しかし、本来のスズキは食味の点で大きなポテンシャルを持った魚である。だが、その美味しいスズキを食べるためには、結構気を使うことになる。それは、鮮度が落ちやすいこと、旬の時期とそうでない時期との食味の差が大きいこと、あとは水質のよい場所で釣ることである等、時期や場所、鮮度保持に注意を払う必要があるからである。水質について、調べたことはないが、能登半島の中でも外海に面した潮流が速い磯であれば、水質は良いと思っている。

一般的にシーバス(スズキ)の旬は6~8月と言われているが、私が釣っている能登半島の釣り場においてもこれとほぼ同じ時期に旬を迎える。他の魚にも言えていることだと思うが、魚の釣りやすいタイミングは基本的に産卵前の荒食いと産卵後の体力回復期と思うが、そのどちらにも該当しない時期は、釣りにくい。しかし、食べて最も美味しいのはこの時期である。6~8月に釣ったスズキの腹を裂くと、内臓の周りが脂肪でたっぷりと覆れており、この状態の魚だと間違いなく美味しい。ただ、ここで難点は、ただでさえ鮮度の落ちやすい魚なのに、旬の時期が暑い時期であること。夏場となると、クーラーボックスを持ち歩くか、車から近いところで釣る必要がある。私がスズキを釣るフィールドは磯がメインであり、ランガンしながらの釣りとなるのでそれは難しい。そこで鮮度を維持するには、変人の域かもしれないが、ショイゴでクーラーを担いでランガンすることになる。

私が能登の釣り魚で最も美味しい魚は何かと聞かれたら、間違いなく夏のスズキと答える。例年1~3匹ほどしか釣れないが、釣れたら格別の嬉しさである。やはり美味い魚を釣ることが最も釣りをやる気にさせる。

今回は地形が変化した新場所での釣り。潮の流れは以前とは変わって、隆起した地形に流れが遮れており、以前より磯に当たる波高が低い。しばらくランガンするが無反応が続く。シャロー帯なので少しレンジを入れるとカサゴが食ってきた。地形は大きく変わったが魚がいたことがわかり少しほっとする。

メバルも食いついてきたが、すぐにハリから外れてしまう。メバルのアタリは何度かあったが、食いが浅いのか、波高が低いので警戒しているのか、なかなかハリ掛かりしない。

ランガンの終点に近づくと、磯際に深みのある所を発見。そこにスピンテールでテンションフォールさせると60cm程のスズキが釣れた。磯に生えている茶色のワカメ色と似た体色をしている。海藻に身を隠していたのだろう。続いて再開1投目にまたまたヒット。今度は少しサイズが大きい。ランディングに手間取っているとルアーが宙を飛ぶ。フックが伸びていたので、しっかり合わせたつもりだったが掛かりが浅かったのだと思う。

車に戻り次のポイントへ。昼時に近いので、短距離でエントリーできる場所にする。ここも新場所となる。岩に囲まれた小さな窪みのようなところがあり、こんなところにはいないだろうと思いながらも試しにルアーをちょい投げして通すと水面にスズキが出てきて食いついてきたが、フッキングせず。次にフルキャストして、沖の岩礁の周囲を探ると、メバルが立て続きにヒット。どれも25~27cm程の食べ頃のサイズ。4匹キャッチしてから、今度はサラシのないシャロー帯を通すと底の岩からスズキが飛び出してくる。2匹ヒットしたが、いずれも寄せてくる途中でハリから外れる。スズキとメバルとカサゴ、どれも美味しい魚なので満足して帰途についた。

それにしても不思議なのは、例年6月から7月にかけてメバルがシャローでよく釣れることである。この時期は水温が高く、明らかにメバルの適水温から外れているのだが、どうした訳か異様に活性が高く真昼でも釣れる。パターンにハマると良型が数釣れることもある。

旬のスズキは格別のうまさで夕食は幸福の極みだった。メバルもカサゴも安定のうまさ。釣りすぎれば数が少なくなるのは間違いないので、釣る数は、自分が食べられる分くらいがちょうどいい。暑くなってきたし、次は渓流でのイワナ釣りかキスの投げ釣りに行きたい。アユも釣ってみたくて、アユイングなら安価にできそうで興味がある。

ショアからの青物ポイントは、限定的であり、釣り人に対して釣り場のキャパが少ない。それに対して、比較的スズキのポイントは豊富にある。とはいっても、先行者がランガンした後に釣るのはかなり難しいので、先行者が広範囲をランガンした後では、釣り場はかなり絞られることになる。海は広大とはいってもショアのポイントは思ったより少ない。これに対して、河川や、渓流、源流の釣りポイントは圧倒的に豊富にある。山や谷が豊富な日本は支流の数も多く、人の入っていない釣りのポイントは膨大にある。釣り人が淡水域にも海と同じくらい行くようになると海の混雑は少なくなる。私は同じポイントにはシーズン数回しか行かないようポイントのローテーションを心掛けている。混雑を避ける意味もあるが、ただ自分自身が飽き性なので、新鮮な気分でを釣りしたいからである。

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