2024.3 中通島

釣り遠征
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今回、中通島を訪れることになったきっかけは、T氏の凄まじい釣果報告による。
その内容は、T氏は年初の中通島にて、「ヒラマサのメーター弱を2本、他大型によるラインブレイク、ヤズは至るところどこでも釣れた」というもの。
これまで私は中通島の存在は知っていたが、海岸が切り立っていて、陸からの入磯は難しそうと思い込んでおり、釣行先の候補として優先度は低くなっていた。しかし、これだけの好情報を聞いたからには気になってしまう。

そこで、まずはグーグルマップを眺めてみることにした。すると入れそうなポイントは意外にも多くあり、すぐに目につくのは抜群に潮通しのよいポイントであるが、その他にも、複雑な地形の島であることから魚が留まりそうなポイントは随所に見受けられる。さらに詳細を確認するために海底地形図、等高線地形図をしばらくみていると、いつの間にか、気持ちが高ぶり、釣行そのときが待ち遠しくなってくる。だが、いくら釣れるとは聞いても冬時期に遠征するのは、気が乗らず、やはり例年のように気分が上向く春先に向かうことにした。

九州へは、春を先取りできるような時期に行くのが気持ちがよくて好きだ。日照時間が短い冬の北陸を過ごしているためか、特にそう思ってしまう。 

今回の釣行に備えて、自作のルアーを沢山作った。これをテストしながら釣りを展開するのも楽しみの一つだ。フックを交換したり、おもりシールを貼ったりしてルアーテストをしながらの釣りは、考えることが多くそれだけで楽しい。


狙いは、ヒラマサとヒラスズキ、さらにメインターゲットが達成されれば、アジングやエギング、根魚釣りもやってみるという計画。


釣行の詳細内容は省略し、簡単に結果をまとめると、青物狙いに関しては、大型のヒラマサの捕食を間近で見たのと、大きな波紋のチェイスが一度あったが、明らかなバイトは一度も得られなかった。(初めてみたが、目の前10m程の距離で突如50~70cmほどのダツがもんどり打って、空中に投げ出されたかと思うと、とんでもなく大きな魚体の頭から背にかけてが海面から姿を現して、そのダツを捕食した。おそらく、ダツに体当たりして空中に投げ出した後に捕食したのだろうと思う。そのとき、緊張により手元がブレてキャスト位置が大きく逸れてしまった。近くにルアーを落とせたら、もしかしたら食わせられたのかもしれない。)

波が立てばヒラスズキは安定して釣れて、アジングは魚影の濃さを実感できた。(夜間、港内では大型のアジが泳いでいて、大型魚に追われるアジも大量にいたが、これらのアジをヒットさせることはできなかった。)エギングはやらなかったが、港内では、小型のアオリイカを多く目視できた。
根魚は小さいながらも港内には多くいて、サイトフィッシングができるほど大胆にバイトしてきた。これは普段の釣りでは体験できないことなので、驚きだった。

天候としては、寒の戻りといってもよいほど、気温の低い日が多く、春の釣りにおいて、水温低下は、マイナス要素が大きかったのではと思う。
全体的に釣り人は多く見かけ、ポイントによっては、入れ代わり立ち代わり人のいるポイントもあったが、他方では全く釣り人のいないポイントも多くあり、人気ポイントとそうでないところの差が大きいように感じた。 

今回、島周囲を巡ったが、どこも素晴らしいロケーションであり、そこに佇んで釣りをしているだけでも満足できた。また、魚が釣れなくても毎日ポイントを変えることで新鮮な気持ちで釣りができ、集中力を持続することができた。さらに、ここ中通島は地形のバリエーションも豊富で、海峡では海流がものすごく速く、流れも目まぐるしく変化があり、釣りをしていて飽きない環境の変化も多くあった。そんな環境下でルアーを流れの変化に合わせて操作していると、釣りが単調にならない。
釣り場や街で会う人々は気さくで、その人達の多くが釣りの話ができて、親切で温かい人達だった。その中でも釣り場で会った人の中には、こちらから頼んでもいないのに、親切にポイントを案内してくれたり、島の情報について、教えてくれたりしたのでありがたかった。

今回の釣行に際して、ネットによる人の情報等の下調べは一切しなかった。調査のために使用したのは航空写真(グーグルマップ、ヤフーマップ)、海底地形図(海釣図)、登山用地形図(ジオグラフィカ)のみである。これらの地図情報を駆使すれば、どこの遠征先でも、ポイント探しには困らないだろう。昔は、本と紙の地形図を書店で取り寄せて調べていたことを思うと、便利な世の中になったとつくづく思う。

実際にエントリーしたポイントは10か所ほど。すべてを写真に収めていないが、素晴らしい景色だったので、以下に写真を残しておく。今回は一部しか周れなかったが、島周囲のポイントは、ざっと地図に印を付けただけでも20か所はある。地磯は写真を控えるべきだと思うが、多くのポイントがあり釣り人の数よりも釣り場のキャパが明らかに上回っている地域なら、問題はないと思う。(お気に入りのポイントがあって、そこにしか行かない人にとっては、都合が悪いこともあるかもしれないが、海は広大であり、楽しめる場所は他にもたくさんある)

右手奥には海岸から歩いていけるが、満潮時や水位の高い時期は水に入らないといけないかもしれない。
何度見ても惚れ惚れする美しい魚体。
大潮の干潮時に干上がった海岸
海峡には立派な橋が架けられている
大岩がごろごろとあり、移動は険しく、海は激流であり、緊張した。
朝焼けの期待が高まる。潮は速く、複雑に流れている。
ツワブキがたくさんあり、採っている人がいた。
海峡は川のように流れていて、日本海では見ることのできない速い流れなので、しばらく観察してみた。
条件のよいときは、この海岸で青物やマダイも狙えるようだ。
居心地のよい岬
岬から望む激流
今回、竿を出さなかったが、条件次第では、ベイトが追い込まれそうな地形だ。
終盤に小物狙いをしていると、ホウライヒメジが釣れた。かなりの美味で最高の車中泊飯を堪能できた。
漁港でアジング。25cm程のサイズも数匹釣れたので背開きにして車中で調理した。
北よりの風が10m/sほど。海峡は風が集まって通り抜けるのでこれよりも強く感じるが、左手に回り込んで、風を正面に崖を背にすると風は全く感じなくなる。強風であっても地形を調べて風向きを正面にして壁を背にできれば、風の弱いところを導きだすことができる。

私は魚を釣ることはもちろん好きなのだが、それと同じくらいに、旅や自然が好きだ。
しかし目的の無い旅は、気持ちの高ぶりがない。そこで、釣りという目的、確実性のない叶えられるかわからない魚を釣る目標があることで、旅にいい緊張感ができて張り合いができる。必ず達成できる目標だとそれはなんだかつまらない。どうなるかわからないからこそ、ワクワクする。旅や自然が好きになった、そのきっかけを作ってくれたのは、魚である。そこに魚がいることで、成り立つ行為なので、いつまでも魚が泳ぐ豊かな海であることを願いたい。

今回、ヒラスズキ狙いで、長い距離をランガンできるポイントがあったが、そこではあえて、しらみつぶしにポイントを打つことはせずに、まばらに打っていった。それでも十分釣れるので、時間いっぱいやって、ポイントの全てから魚を釣ることまでしなくてもいいと思う。
昨今、釣り道具の進歩は著しく、魚を釣りやすくなってきている。その高性能な道具で、釣れるだけ釣るのではなく、ある程度の釣果が得られたのなら、早めに納竿し、あとは景色を眺めながらコーヒーを飲んでくつろいだり、周辺の自然を観察したり、早めに夕食の支度をしたり、のんびりと読書するのもいいと思う。


これは企業経営にも似たようなことが言えるかもしれない。例えば、テクノロジーや効率化によって生産性が倍になったのなら、働く時間は、これまでの半分で済むはずなのに、そうはせずに働く時間はそのままに、生産量の方を倍増させて、より利潤を増やす方向に動く。富の総量が増えるから、世の中が豊かになるという考えもあるが、しかし、生産性が向上していく中で労働時間が変わらないことは、労働者にとっては、ますます忙しくなり、疲弊していく。身を粉にして働いてモノを増やしサービスを良くすることよりも、労働時間を減らして、自分のやりたいことに時間を使ったり、のんびりと過ごすことの方が大切ではないかと思う。

最後に、中通島の津和崎には椿がたくさんなっていて、そこで出会ったお婆さんが9月に椿油が取れるといっていた。中通島でのお土産に五島うどんを購入したところ、椿油で練り込んだつるつるの喉越しが後を引く美味しさだった。

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