2024.5 隠岐の島

釣り遠征
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これで4回目となる隠岐の島釣行。
昨年の隠岐の島での厳しい釣りの記憶が釣行の意欲を削いでいたのか、今年の隠岐の島は見送ろうかと思っていたのだが、5月に入り明るい日差しが打ち付ける日が多くなると、現地の壮大な景色の磯で釣りをすると、さぞかし気持ちいいだろうと想像してしまい、またそこに身を置きたくなってきた。気持ちの高ぶりは自分でコントロールすることは難しいが、妄想しだすと段々と熱が入ってくる。

どんなことにも共通して言えることだと思うのだが、回数や経験を重ねる度に新たな発見があり、気づきがあり、さらに興味深い対象となっていく。これまで眼に入らなかったものに気づいたり、視点が変わったりと、日々変化していく人間にとって見え方も感じ方も変わっていく。隠岐の島には何度も足を運んでいるが、その度に新たな発見がある。
歳を取る楽しみの一つとして、若かったころに見えなかったものや感じなかったことに気づくようになれることだと思う。

釣行先について
隠岐諸島は、大きく分けて南に位置する島前3島と、北に位置する島後1島で構成されている。今回の釣行先は、島前は西ノ島、その後に島後に移動することにした。

島前の西ノ島の海岸は、断崖が多く、全体的に磯際から水深がかなりある。気軽にエントリーできるポイントは少ないが、迫力のある景色を見ながら、大物が潜む可能性を感じられるところが魅力だ。

島後の隠岐の島は、西ノ島と比べると島自体が大きく、比較的エントリーしやすいポイントが多くあり、ポイント巡りを楽しめる。水深は浅いところ深いところとバリエーションに富んでいる。景色も素晴らしく、絶景を眺めながら気持ちのよい釣りができる。

島前には3つの島があるのに、その中からなぜ西ノ島を選んだかというと、私は西向きの海岸が好きだからである。多くの離島に釣行したが、どこも西海岸が好きである。理由はたくさんあるが、西側は東側に比べて開発が進んでいなく、静かな場所が多いこと、自然が多く残されているところ。また、強い風波が打ち付けるのも西海岸であり断崖や浸食された複雑な地形も多い。潮流も西向きの方が強い傾向がある。さらに沈む夕日を見ながら釣りができることも大きな魅力。

釣りに行きたくなったその他の理由
テストを控えた自作ルアーが溜まってきており、これらを海で泳がせることが待ち遠しかった。家の近くの港で泳がせることもできるが、時間を掛けて泳がせてみないと分からないことが多いので、港でそれをやるのは、人工物に囲まれた中では忍耐が必要でしんどい。
やはり、素晴らしい景色のフィールドでこそ、飽きずに長い時間を掛けて様々なことをテストできるし、刻々と状況が変化する条件の中で確認することもできる。
さらに、魚が泳ぐ海でテストすることで、魚の反応も期待できる。とにかく、フィールドで使用してみないことには適切な評価は難しいと思う。
自作のダイペンで目標としている性能は、以下の3項目である。
1.引き抵抗が軽いこと
2.ミスダイブしにくいこと
3.ロールとスラロームがバランスよく発生し、動きのピッチが細かいこと

*ルアーテストの方法と判定項目は本文の最後に記しておきます。

釣果情報について
渡船の情報によると青物についてムラはあるものの、昨年よりは釣果がいいようだ。
釣れているという情報は、それだけで気力の向上につながるが、情報を気にしすぎるのもよくない。あくまで情報は過去のことであり、未来がどうなるかはわからない。とにかくやってみないことにはわからない。

交通アクセス
自分の中で最もハードルが高いと感じるのは、行き帰りの車の運転。
だが、それは余計な心配だった。前に行ったときのことを忘れてしまっていたが、北陸から島根の境港までは、案外道が空いているので、運転の疲れが少ない。
しかも、福知山で高速を降り、そこから下道と高速無料区間を利用することで、高速料金も安く行ける。(軽自動車で3400円ほど)
疲れにくくなったのは4回も行っているから道を見慣れてきたせいかもしれない。

釣行記録
ここから本題となる。
南西の風がやや強く吹いていたのが収まりかけたタイミングで西ノ島に入る。
狙いのポイントに入って2日間、青物を狙ったが無反応で終わる。
その代わり、夕方に漁港でアジの大規模なボイルに遭遇し楽しませてもらえた。
このとき、エギングロッドを使っていたので、なんとか投げられる3gのマイクロジグ、3gのジグヘッドを使用するが、アジは素通りしていく。無理やり、1.5gのジグヘッドを投げて、漂わせると食いついてきたが、なかなかハリ掛かりしない。
しかし、群れで数が多いので、入れ代わり立ち代わり多くのアジがジグヘッドに食いつく。だが、合わせる間もなく吐き出していく。それでも、その内に1匹がラインを引っ張りロッドに重みが乗る。
そんな感じでなんとか2匹釣り上げることができた。翌日の夕方もボイルの規模こそ小さくなったが、今度はアジングタックルで臨むと、簡単にハリ掛かりして2匹釣れ計4匹にまとまってから調理して夕食にした。アジは潮に同調して浮遊して漂うものなら口に入れてくれるが、不自然な動きのものだと口には入れない。その日の潮の流れや風向きを考えて、違和感なく漂わせることが釣果につながるのかなと思った。まだまだ経験が浅いのでわからないことだらけだ。だけど地元とは違ってアジがいるとわかるポイントでいろいろと試すことができることがすごく楽しい。 

翌日から風が強くなる予報であり、その前に島後に移動する。
島後に移動してから時化となり、1日は釣りをせずに車中で読書して過ごす。
風は収まっても波が高い状態がしばらく続く。南西向きの波なので、北東向きの磯でやるが、波が回り込んできてたまに高い波がくる。
徐々に波が収まってくるのに合わせて、北東→北→北西と丁度よい波高になる位置に釣り座を変えていく。

1尾目のヒラマサ
好きな夕方の釣り。始めは、足場がよい場所で釣りをしていたが、海を眺めていると、左側の突き出た磯の先端から沖に向かって帯状に流れ藻が漂っている。一昨日の時化で千切れたものなのか、潮流に乗って遠くから流れついたものなのかわからないが、潮目によりこのような帯状になっているのだろうか。
だとしたら、この流れ藻の外側に投げた方がいいのではと、立ち位置を大きく移動した。この場所からは狙いの位置に届くが、左側にある岩礁がやっかいだ。
先端に行きたいが、波を被っていて危険。だが、今はとにかく魚の反応を得たい。そこで根ズレのリスクは承知で下がった位置からキャストする。走られると根に巻かれるので、ドラグは強めにする。それから20投目くらいだろうか。フルキャストして、10回ほどジャークしたとき、ルアーの後ろに水飛沫がたち、魚がチェイスをしてくる。落ち着いてジャークを繰り返す。3度目の水飛沫でヒット。ロッドに重みがのる。一生懸命ポンピングを繰り返す。それでも、やはり行ってほしくない左側の岩礁の裏に泳いでいく。やばいと思ったが、魚は既に海面近くだったので、強引に水面に上げて寄せた。65~70cmほどのヒラマサ。厳しい立ち位置だったが、このサイズだからなんとか挙げられた。やはり、ヒラマサは行ってほしくない場所に向かって泳いでいく。釣り人側は、ヒラマサに対して、根がないところに泳いでほしいと、楽観的な期待をするが、ことヒラマサに関しては、だいたい裏切られる。
大きくはないが嬉しい1本だった。しかも車中で調理するにはちょうどいいサイズだし、このくらいのサイズが食べて最も美味しいように思う。釣って食べる派としては、このサイズがたまに釣れてくれるくらいが釣りも食事も充実できて総合的な満足度は高い。

楽しいライトゲーム
夕方に漁港で釣りをすると良型のフグと、カサゴが釣れる。フグはいい引きをする。針掛かりすると横に走っていったので大きなアジかと思ったがフグだった。
カサゴは数が多く毎投アタリがある。西向きの漁港よりも東、南向きの漁港の方が魚影が濃いように感じた。ある漁港では25cmほどの良型も釣れた。
メバルが数匹まとまって上を向いて漂っていたり、いいサイズのシマダイが藻の中を泳いでいた。透明度の高い水で釣りをするとワームも見えやすいし、魚を見ながら釣りができるので楽しい。

2尾目のヒラマサ
隠岐の島の春の風のパターンは、南西向きの風から始まって、西、北西、北東、東と低気圧の移動によって島に当たる風向きが時計回りに変わっていく。今回もこのパターンだった。
風向きの変化に合わせてキャストポイント、立ち位置を変えていく。
最終日の前日。風向きが北東になった頃。西向きの海岸は比較的穏やかな海になっていた。
ポイントは向かって左側は水深があり、右側は瀬が入っていて浅いが、ヒラマサの性質からして右側の瀬際でヒットするのではと思い、朝一からここに狙いを定めるが、一向に反応がない。
そこで、日の出から2時間経った頃、左側の水深のあるところに105gの撃投ジグストライクを投げて着底まで30カウントほど。潮は右に向かって強く流れている。足下の磯際には多くの小型から中型の魚が見える。いい潮が入っていると思われる。しばらくは着底からシャクるがアタリはなく、着底させてからでは手返しに時間がかかるので、着底させずにカウントを25、20、15、10と刻み、キャストも遠距離、中距離と変えて探ってみる。すると近距離の潮下でカウント20ほどでロッドに強いアタリがあるが、乗らず。
乗らなかったときは、なんらかがかみ合っていないことが考えられるので、根拠はないが何かしらの変化を施す意味合いでアシストラインを1cmほど長めのフック(早掛けタイプ)に交換してフッキング率向上を図る。
それから間を置かずに、遠くで20カウントからジャーク開始するとジグの重みが消え、抜けるようにジャークが軽くなる。何度かこれが起こった後、ロッドに重みが伝わる。
手前に泳いでくるので急いでリールを巻く。姿を見てヒラマサだったが抜きあげる途中にハリが外れ魚は海に帰っていった。
サイズこそ大きくはないが、魚の姿を見られたので気合が入る。それから、しばらくアタリがなくなったが、1時間後にハマチがヒット。
それからは反応がなくなる。よく見るとさっきまでいた足下の魚達がいなくなっている。潮が変わったのか流れも緩やかになってきている。この辺りで道具を仕舞った。
この釣れたハマチはフットボールのように丸々としてて、食べると美味だった。

綺麗な瞳をしている。
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釣り場で出会った人
今回、釣り場で自作ルアーを作っている人に出会い、そのルアーを使わせてもらったり、交流できたのがよかった。
環境が整わないと難しいと思うけど、個々人が自分好みの釣具を思いのまま作れるようになって、多くの人がクリエイターのようになると世の中が面白くなると思う。

隠岐の島での楽しみ
釣り場へのアプローチに隠岐の島の海岸を歩いていると、様々な石があって興味深い。
磯の岩質も様々あり、眺めているだけでも楽しめる。東海岸では、マグマが地表に上昇する過程でマントルの成分を取り込んだ岩石であるマントルゼノリスを見ることもできる。
隠岐の島は世界ジオパークになっており、隠岐自然館では岩石や地質、地形について興味感心のある方は楽しめるはずだ。私は磯を歩き回ってきた後に、ここを立ち寄ったが、実体験も合わさってとても興味深く観覧できた。その中には海に関する展示もあったので、ここでは釣りに関係する一部を紹介する。

日本海は太平洋に比べて潮汐が小さいことは日本海で釣りをする人なら知っていると思うが、それについてより詳しい説明があった。

「干満差について、関東では2m、有明海では4m、また平均の潮位もほぼ一定である。一方、日本海の干満差は40cmほどしかない。この理由は、例えば満潮により太平洋の水位が高くなってくると、日本海にその水が流入してくるが、入口(対馬海峡)も出口(津軽海峡)も狭く、かつ浅いために太平洋の水位上昇に対して、日本海の水位上昇が遅れる。そして日本海が太平洋の水位上昇に追いつく前に次の干満が訪れるために、日本海の干満差は小さくなる。
潮汐リズムについても太平洋と日本海では異なる。太平洋は調和型であり、日本海は非調和型となる。(調和型とは1年を通して干満による潮位差の季節変動が小さい。非調和型とは、季節により干満の潮位が異なる。非調和型である日本海は、流入する対馬海流の勢いは夏に強く、冬に弱いために、海面の高さも夏に高く、冬に低くなる傾向となる。)
また、日本海の対馬暖流の多くが偏った流れとなって津軽海峡に抜けていく理由について、地球の自転の影響で絶えず右向きの力(コリオリ力)を受けるため、対馬暖流の多くは秋田沖あたりで東寄りに集まりそこから津軽海峡を抜けていくことになる。」

かつて日本海の海面は低く、隠岐の島と島根半島の間は陸続きだった。なぜそう言えるのかというと現代において隠岐の島と島根半島間は水深が80mほどしかない浅い海であり、海底が平らな大陸棚となっているからこのことが推測できるのである。
日本海には浅い海底の場所が他にもいくつもあり、かつて海水面が低かった氷期において、これらは陸地だった。これらの陸地はパズルのピースのように組み合わせることができ、すると見事かつての超大陸パンゲアになる。隠岐の島(西日本)が大昔、朝鮮半島の一部だったことを推測できる試料として、隠岐の島と朝鮮半島には似たような組成の片麻岩が見つかっている。 

地震の多い日本だが、日本列島がかつて大陸の一部だったことを知ると、地殻変動はこれからも起こっていくことであり、それに伴う大きな地震はこれからも絶えず起こることが想像できる。


近年の地球は温暖気候(間氷期)と寒冷気候(氷期)を周期的に繰り返しており、今は間氷期であるが、いずれは氷期に向かい、海水面は下がっていくと言われている。
いずれ隠岐の島と本土はまた陸続きになるのだろうか。そのとき地球上に人類がいる可能性は低いとは思うが、そのはるか未来を想像するだけでも、今ここに存在する自分が、自然を見る視点や感じ方に深みが増していくように思う。

隠岐の島にはクラッククライミングする人なら登りたくなる柱状節理もある。高さは20~30mほどか。

ルアーテスト方法は、下記のように行った。特に順番は無く、ルアーの動きを見ながら直感で調整していった。
1.フロント、リア共にルアーサイズに見合った標準的な重さのフックにする。
2.フロント、リアどちらかを重めのフックにする。
3.フロント、リアどちらかを軽めのフックにする。
4.フロントフックのみにしてみる。(リアはフック無し)
5.リアフックのみにしてみる。(フロントはフック無し)
6.板オモリを貼ってみる。

評価は以下の項目で判断した。
1.ダイブしやすさ。(ミスダイブしにくいか。)
2.引き抵抗は軽いか、重いか。
3.スラローム幅の大きさ。(小回りか大回りか)
4.ロール性。(スラローム寄りかロール寄りか。よく釣れるルアーは、この配分が絶妙である)
5.泳ぐ深さ。(個人的には浅い方が好き。深く潜ると浮上も遅くなるし、引き抵抗も重くなるため。理想は水面に飛び出さない範囲で浅く潜ること)
6.ダート性。(発生するか、しないか)
7.浮上の時間。(早いか遅いか)
8.ランダム性。(イレギュラーアクションが起こるか)
9.安定性。(意図した操作を繰り返し行えるか。ランダム性とは相反するところがある)
10.好きな動きか。(結局、これが一番大事なのではないか。好きな動きでないと釣りをしていて楽しくない。)

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